結論から述べると、矯正治療は『未来へ備える治療』です。
5,6月あたりの学校歯科検診の時期になると検診の用紙を持って受診されるかたがよくいらっしゃいます。よく受ける質問として「うちの子は歯並び悪いですか?」かと聞かれることがしばしばあります。歯並びの悪さはどんな方でも大なり小なりあると思いますが、学校歯科検診は集団検診なので集団のなかでも用紙をもらった方は特に歯並びが悪い方だと思います。
また、「矯正治療の必要はありますか?」と質問を受けることも多いです。 そんなときに私は「歯並びの悪い状態は建付けが悪く歪んでいたり、足の長さが不ぞろいな椅子のような状態です。今現在は問題なく使えていても長い期間のなかで、その歪みは問題を引き起こします。矯正治療はこの歪みや不揃いな脚の長さを整える治療です。」とお答えしています。いきなり椅子の話されて胡散臭い感じがしてしまうかもしれませんが、事実はそうだと思います。
例えば、歯並びが悪く、むし歯になっているような場合はどうでしょうか? むし歯の治療を行っても、磨きにくい状況が変わらなければ、また再発してしまうでしょう。八重歯のように高い位置にある歯は下の歯と当たることもないので、時間とお金をかけて虫歯の治療を行なったところで、その歯は全く仕事していません。残念ながら、その状態は歯を抜くことになるまで永遠と変わることはありません。歯周病でも同じことがいえると思います。矯正治療を行わなければ歪みはずっと存在し続けるし、元々歪んでいれば、その歪みは時と共に強くなっていくからです。容易に想像がつくと思います。
見た目のコンプレックスがきっかけで治療を行う患者様が多いですが、矯正治療は今起こっている問題を治す目的以上に、これから起こる問題に対して予防線をはっておく目的のほうが意義高いわけです。 つまり、これが『未来へ備える治療』といえる理由です。