矯正治療に関心を持っても、「費用が高い」と感じてためらってしまう方も多いのではないでしょうか。確かに、矯正治療は一般的な歯科治療と比べて高額です。しかし、なぜそれほど費用がかかるのでしょうか?今回は、矯正治療の費用が高い理由について、保険適用の有無や治療の流れを踏まえながら解説します。
■矯正治療費が高い理由
矯正治療には、専門的な技術と時間、設備が必要です。歯科矯正は、通常数ヶ月から数年に及ぶ長期的な治療となり、使用される器具や機材の費用も含まれています。
また、矯正歯科医は高度な専門知識と技術を持つ必要があり、その養成には多くの時間と費用がかかるため、専門的な治療を提供することに対する料金が発生します。
矯正治療では、患者様の口腔内を綿密に診断し、個別に治療計画を立てるため、レントゲン撮影、口腔内写真、歯型の採取といった初期診断が必要です。これにより治療開始前の費用も発生します。
加えて、治療過程での装置の調整や交換、治療終了後の保定期間に必要な保定装置(リテーナー)の使用など、治療全体を通じて細かな調整と管理が求められます。これらの工程が、治療費用に反映されています。
■保険が適用されない理由
日本では、矯正治療が「美容医療」に分類されるため、基本的に保険適用外です。
矯正治療は歯並びや噛み合わせを改善し、見た目を良くするだけでなく、発音や咀嚼機能を向上させることも期待されますが、「美容的な目的が強い」と見なされるため、一般的な医療保険ではカバーされません。この分類が、矯正治療が高額な自己負担を必要とする主な理由の一つです。
ただし、例外的に、重度の顎変形症や口蓋裂などの機能障害がある場合、矯正治療が医療行為として認められ、保険適用になるケースもあります。
このような機能障害を伴う治療は「医療の必要性がある」として位置づけられ、矯正治療に含まれるものの、保険適用が認められるのです。
しかし、これらの適用条件は限られており、多くの人にとって矯正治療は保険対象外の自由診療に該当します。
■矯正治療費と医療費控除
矯正治療は高額になるため、経済的な負担を減らす方法として医療費控除を利用することが可能です。
医療費控除とは、年間の医療費が一定額を超えた場合に、所得から医療費を差し引くことができる制度で、矯正治療も控除の対象となります。ただし、この控除が適用されるためには、治療の目的が「機能改善や健康の維持」であることが求められます。
医療費控除を申請するには、治療費の領収書や証明書を保管しておき、確定申告時に証拠書類を作成することが必要です。
■自分に合った治療法の選択
矯正治療の費用には幅がありますが、治療方法や装置の種類によっても大きく変動します。金属ブラケットによる一般的な矯正から、見えにくいインビザラインや舌側矯正まで、患者様の希望や生活環境に応じた治療法を選択できます。
装置の選択により費用が異なるため、矯正治療を考える際には、歯科医師とよく相談し、総額や支払い方法について明確に把握しておくことが大切です。
【矯正治療は生活の質も向上します】
矯正治療の費用が高額になる背景には、治療にかかる時間、専門技術、使用する機材や装置、さらには医療保険の適用外であることなど、様々な要因が関係しています。とはいえ、矯正治療は見た目の改善だけでなく、歯の健康や生活の質を向上させる重要な投資ともいえるでしょう。
高額な治療費を少しでも軽減するためには、医療費控除の制度を活用することをおすすめします。医療費控除についての詳しい情報は、こちらの記事もご参照ください。