小児矯正とは、成長過程にある子供の歯や顎の発育を活かして歯並びや噛み合わせを整える治療です。近年、子供の矯正治療に注目が集まっていますが、実際に「小さい頃から始めた方がいいのか？」という疑問を持つ保護者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、小児矯正を早く始めるメリットや適切な時期について解説します。

■小児矯正を早く始めるメリット

小児矯正の一番の特徴は、成長期の顎や骨の柔軟性を活かして治療ができる点です。この柔軟性があることで、永久歯がきれいに生えるための土台作りが可能になります。

◎顎の成長をコントロールできる

成長期の子供は、顎の骨が柔らかく、まだ発育途中です。この時期に矯正を行うことで、顎の成長を適切に誘導し、歯並びのスペースを確保することができます。

例えば、顎が小さくて歯が重なり合って生える「叢生（そうせい）」の予防や、下顎が前に出る「受け口」の改善が期待できます。

◎永久歯への影響を最小限に抑える

永久歯が生え揃ってからの矯正では、歯を抜いて、そのほかの歯を移動させるスペースを確保するような場合があります。

しかし、小児矯正では乳歯と永久歯が混在する時期に治療を行うため、将来的に歯を抜かずに歯をきれいに並べるスペースを確保できる可能性が高まります。

◎噛み合わせの問題を早期に解消

噛み合わせの問題は、放置すると顎関節症や消化機能の低下を引き起こす可能性があります。小児矯正を通じて早期にこれらの問題を解消することで、将来の健康リスクを軽減することができます。

◎見た目や発音への影響を改善

歯並びが悪いと、子供の見た目に影響を及ぼすだけでなく、発音や自信にも影響を与えることがあります。小児矯正を早く始めることで、見た目の改善だけでなく、話しやすさや自己肯定感の向上にもつながります。

◎小児矯正の適切な開始時期は？

小児矯正を始める時期については、個人差があるものの、当院では7歳から10歳ごろが適切だと考えています。この時期は、乳歯が抜け始め永久歯が生え揃う過程にあり、顎の成長が活発な時期です。

特に次のような場合は、矯正専門医に相談することをお勧めします。

• 上下の前歯の噛み合わせが逆（受け口）

• 前歯が大きく出ている（出っ歯）

• 歯が重なり合って生えている（叢生）

• 指しゃぶりや舌を突き出す癖が残っている

■小児矯正を始める前に知っておきたいこと

小児矯正には多くのメリットがありますが、治療の必要性や時期は子供の口腔状態によって異なります。そのため、専門医による適切な診断が重要です。診断の際には、子供の顎や歯の発育状況を詳しく確認し、どのような治療が必要かを明確にすることが求められます。

また、小児矯正は一度の治療で終わらないことが多く、成長に合わせて治療計画が段階的に進められる点も理解しておきましょう。

さらに、治療を開始する際には、子供自身が治療に前向きであることが大切です。保護者が「きれいな歯並びにしたい」と願う一方で、子供が治療に抵抗感を持つ場合もあります。そのような場合は、専門医から丁寧に説明を受け、子供が治療の必要性を理解できるようサポートしましょう。

【小児矯正についてもご相談ください】

小児矯正を早く始めることで、成長期の特性を活かし、顎や歯並びの問題を根本から改善することが可能です。ただし、開始時期や治療の内容は子供の個別の状況によります。まずは専門医に相談し、適切な治療計画を立てることが重要です。早期治療のメリットを理解し、子供の健康で美しい歯並びをサポートしていきましょう。