歯列矯正は、歯並びや噛み合わせを改善することで、見た目や口腔内の機能向上、健康の維持につながる治療です。しかし、矯正中にはさまざまな痛みや不快感が生じることもあり不安に思う方もいるでしょう。
矯正中に感じる痛みには、大きく分けて3つのタイプがあります。
・装置による痛み
・歯の移動による痛み
・抜歯による痛み
それぞれの痛みについて対処法や予防方法を含めてご紹介します。
■装置による痛み
装置による痛みとは、矯正装置が口内の粘膜や歯ぐきにあたることで起こる痛みで口内炎もその一つです。装置を初めてつけたときや交換したばかりのときに特に痛みを感じられます。
装置による痛みの対処法としては、ワックスやシリコンパッドで装置を覆うことで刺激を軽くできます。しかし装置が外れたり壊れたりして痛みが生じている場合は、すぐに歯科医院を受診して処置を受けましょう。
■歯の移動による痛み
歯の移動による痛みは装置が歯に力をかけることで起こる痛みです。歯の移動自体でも痛みはありますが、歯が動いて敏感になっている状態で噛むことでも痛みを感じます。
装置をつけたり調整したりした後に痛みを感じ、人によって程度は異なりますが3日~1週間ほどで落ち着くことがほとんどです。
歯の移動による痛みの対処法は、食事には柔らかい食べ物を食べて刺激を与えないようにして過ごすと良いでしょう。また事前に歯科医師に相談して痛み止めを処方してもらうのも良いでしょう。
また耐えられないような痛みが続く場合はすぐに歯科医院を受診しましょう。
■抜歯による痛み
抜歯による痛みは矯正治療のために抜歯した場合に生じる痛みです。抜歯する歯が乳歯や普通に生えている永久歯だった場合、麻酔が切れた後に少しジンジンとした痛みが残りますが、数日で治まります。
抜歯する歯が親知らずで埋まっている場合、歯ぐきを切開したり骨を削ったりする必要があるため、強い腫れやズキズキとした痛みが3日~1週間ほど続きます。
抜歯による痛みの対処法はまずは麻酔が切れる前に痛み止めを服用することです。当日は激しい運動を避けて、感染を防ぐために口腔内を清潔に保つことも大切です。
また抜歯後にできる血餅(※)がはがれてしまうドライソケットという骨が露出した状態になると強い痛みが続き治癒も遅くなります。ドライソケットを防ぐためにも、抜歯後は強いうがいはしないようにしましょう。
万が一ドライソケットになってしまった場合や痛みが続く場合はすぐに歯科医院を受診し処置を受けましょう。
(※)血液が固まったかさぶたのようなもの
【不安なことは歯科医師と相談しましょう】
矯正治療の内容や進め方、期間や費用などと共に、痛みなど不安に感じることは事前にしっかりと確認しましょう。矯正治療は長い付き合いになります。信頼できる歯科医師と治療を進めていくことが大切です。また、治療の途中でも痛みや不安があるときは遠慮せずに相談しましょう。